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・TP-Linkってよく見るけど「どこの国のメーカー?」と気になっている
・中国メーカーと聞くと「情報漏洩とか大丈夫?」と少し不安
・Wi-FiルーターやメッシュWi-Fiを、できれば安く導入したい
・在宅ワークや動画視聴用に、コスパのいいルーターを探している
・「自分の立場的に、どこまで攻めていいか」を整理したうえで選びたい
結論から言うと──
TP-Linkは「中国・深圳発」のネットワーク機器メーカーで、世界トップクラスのシェアを持つ大手ブランドです。
Wi-FiルーターやメッシュWi-Fi、スマートプラグ・カメラなどを世界中で展開していて、
「価格の割に性能が良い」「Wi-Fiが安定して繋がりやすい」という理由で選ばれています。
一方で、
・中国メーカーであること
・一部ルーターで深刻な脆弱性が見つかり、悪用された事例があること
から、各国政府・セキュリティ機関から注意喚起されているのも事実です。
そこで本記事のスタンスはこうです。
・「コスパ重視・一般的な個人利用」なら、きちんと設定すれば十分アリな選択肢
・「個人情報が絶対に抜かれてはいけない立場」の人は、国産メーカー(バッファローやエレコム、NECなど)を優先すべき
ネットワークカメラが怖いなら、そもそも使わないのも立派な選択肢。
いずれにせよ、価格が安く、製品自体が良いものなのは確かなので、細かいリスクをあまり気にしない方は、試してみる価値があるメーカーという立ち位置です。
と調べてみると、Amazonの売れ筋ランキングや家電量販店の棚でやたらと目に入ってくるのがTP-Linkという名前。
しかも価格だけ見ると、国産メーカーより明らかに安いモデルも多くて、
「安いのはありがたいけど、逆に大丈夫なの…?」と身構えてしまう方も多いはず。
そんなあなたに向けて今回は、
- TP-Linkってどこの国の会社?
- 怪しいメーカーじゃないの?
- セキュリティ的に危なくない?
- どんな人なら選んでOKで、どんな人には向かないのか?
を、まとめていきます!
▶ 会社概要:TP-Linkってどこの国のメーカー?を先に見たい方にこちら
▶ TP-Linkルーターの特徴(コスパ・使い勝手)を先に見たい方にこちら
▶ TP-Linkは怪しい?危険?と言われる理由を先に見たい方にこちら
▶ 立場別:TP-Linkより国産を選ぶべき人・TP-Linkを選んでいい人を先に見たい方にこちら
本日の目次がこちら(クリックorタップでジャンプ)
目次
会社概要:TP-Linkってどこの国のメーカー?
【会社名】 :TP-Link Corporation / TP-LINK Technologies Co., Ltd.
【設立】 :1996年
【本社所在地】:中国・広東省 深圳市 南山区
【創業者】 :Zhao Jianjun 氏、Zhao Jiaxing 氏兄弟
【主な製品】:Wi-Fiルーター(Archer)、メッシュWi-Fi(Deco)、スイッチ、IPカメラ、スマートプラグ・スマートライト(Tapo / Kasa)など
【従業員数】:世界で2万6千人以上(公称)
【展開国】 :170以上の国や地域で販売され、無線LAN機器の世界シェアNo.1を複数年継続
【日本法人】:ティーピーリンクジャパン株式会社(TP-Link Japan)
【公式サイト】:https://www.tp-link.com/jp/
ざっくり言うと、「中国・深圳で生まれたネットワーク機器メーカーが、今や世界中にルーターを出荷している」というイメージです。
名前の「TP」は、LANケーブルでおなじみのTwisted Pair(ツイストペア:より線ケーブル)に由来しています。
日本での展開について
日本では「ティーピーリンクジャパン」として、主に
・家庭用Wi-Fiルーター(Archerシリーズ)
・メッシュWi-Fi(Decoシリーズ)
・スマートプラグ・カメラ・照明(Tapoシリーズ)
などを展開しています。
販売は、
・家電量販店(ヨドバシ・ビックカメラなど)
・Amazon / 楽天などのECサイト
・一部PCショップ・ホームセンター
と、かなりメジャーなルートで購入可能です。
TP-Linkルーターの特徴(コスパ・使い勝手)
特徴①:とにかくコスパが良い
TP-Link最大の武器は、やっぱり価格と性能のバランスです。
・Wi-Fi 6対応
・IPv6 IPoE対応
・複数アンテナで電波も比較的強い
といったスペックのルーターが、セール時には1万円以下で買えたりします。
という人にとって、導入コストが低いのはかなり魅力です。
特徴②:シリーズごとの役割が分かりやすい
TP-Linkはブランドを用途ごとに分けていて、ざっくりこうなっています。
・Archer:一般家庭向けのWi-Fiルーター
・Deco :メッシュWi-Fi(戸建て・広い家・3階建てなど)
・Tapo / Kasa:スマートプラグ・カメラ・照明
・Omada:オフィス・店舗向けネットワーク
Archer か Deco シリーズだけ見ればいいので、選び方はシンプルです。
特徴③:アプリでのセットアップが簡単
TP-Linkはスマホアプリに力を入れており、
1. アプリを入れる
2. QRコード読み取り
3. 案内の通りに配線&SSID・パスワード設定
という流れで初期設定が終わります。
昔のように「ブラウザで192.168…の画面を開いて、謎の英語設定をいじる」必要はほぼなく、“スマホだけで完結する感覚”に近いです。
TP-Linkは怪しい?危険?と言われる理由
この部分が一番気になるところなので、冷静に整理しておきます。
理由①:中国メーカーであることへの不安
TP-Linkはルーツも本社も中国・深圳にある企業です。
近年は再編の結果、「アメリカ法人は中国とは別会社です」とアピールもしていますが、実際にはハードウェア製造や開発の多くが中国拠点に残っていると見られています。
「中国の法律で情報提供を求められたらどうなるの?」といった、地政学的な不安がどうしても付きまとうため、アメリカなどでは国家安全保障上の懸念から調査・規制検討が行われています。
理由②:実際に脆弱性が悪用された事例がある
TP-Linkに限らずですが、ルーター製品は
・ファームウェアの脆弱性を狙われる
・ボットネットに組み込まれる
といった攻撃の標的になりやすい機器です。
TP-Linkでも、
・特定モデルの脆弱性がボットネットに悪用された
・古いファームウェアのまま放置されたルーターが攻撃に使われた
といったニュースがあります。
これは他社ルーターでも普通に起こる話ではあるものの、
「中国メーカー+脆弱性ニュース+アメリカ政府の規制検討」
というセットで報じられるため、どうしても“怪しいイメージ”が強くなりがちです。
実際にバックドアの報告があった
2023年、Check Point Research は、TP-Linkルーター向けに悪意ある改ざんファームウェア(Horse Shell)が仕込まれ、特定の標的へのサイバー攻撃に使われた可能性を報告しました。
参考:
Check Point Research による「TP-Linkルーター向け悪意のあるファームウェアインプラント」のレポートはこちら
攻撃者(中国系APTグループ Camaro Dragon)が、正規のファームウェアを改変してネットワーク内に侵入する“足場”として悪用した、という内容です。
ただしこれは 「正規ファームが勝手に危険な動作をしていた」という話ではなく、
“改造ファームを攻撃者が独自に仕込んで使っていた”という特殊なケース。
- 国家レベルの攻撃で使われた高度な手法
- 一般家庭ユーザーがピンポイントで狙われた例ではない
- 古い機種や放置されたルーターが悪用されやすかった
といった特徴があります。
このような“ファームウェア改ざん攻撃”は TP-Link に限らず、他メーカーのルーターでも起こりうるものです。
しかし、ここで冷静に考えたいのは、
「もし本当に危険性が突出していたら、ここまで普及しているだろうか?」
という点です。
TP-Linkは日本でも世界でも売れ筋上位で、家電量販店でもAmazonでも日常的に置いてあるレベルの存在。
ルーターとしての性能評価も高く、ユーザー数も圧倒的に多い。
それにもかかわらず、
- 日常利用で実害が大規模に発生している
- 重大なトラブルが一般ユーザーで多発している
という状況にはなっていません。
さらに言えば、中国メーカーのネットワークカメラやIoT機器はTP-Linkに限らず日本で広く普及しており、完全に避けて生活するのはもはや現実的ではありません。
つまり、
「国際政治の文脈で警戒されること」と「一般家庭で普通に使う上でのリスク」は別の話ということです。
一般ユーザーができる“自衛策”
ここはTP-Linkに限らず、ルーターを使うなら絶対やってほしいことです。
・管理画面の初期パスワードを必ず変更
・簡単なパスワード(1234…など)は絶対NG
・アプリ・管理画面から定期的にファームウェア更新
・不要な「リモート管理」「外部からの設定アクセス」はOFF
これをサボると、どのメーカーのルーターでも一気に“怪しい機器”化します。
立場別:TP-Linkより国産を選ぶべき人・TP-Linkを選んでいい人
こんな人は“国産メーカー一択”でいいと思う
という方は、コスパよりも“疑われにくさ”を優先したほうが良いです。
例えば、
・官公庁・自治体・重要インフラ関連で働いている
・医療・法律・金融など、絶対に漏らせない情報を扱っている
・仕事で“セキュリティポリシー”がきっちり決まっている
こういった方は、
「中国メーカーを自宅ネットワーク機器に使っている」
というだけで、トラブル時に余計なツッコミを受けるリスクがあります。
そういう立場なら、
・バッファロー
・エレコム
・NEC(Aterm)
などの国産メーカーを素直に選んでおくほうが精神的にもラクです。
(実際にリスクが0になるかは置いておいてですが)
個人利用なら「ビッグデータの一部」くらいの感覚でも
逆に、一般的な個人利用なら、
・YouTube・Netflix・SNS・ネットサーフィン
・軽い在宅ワーク(機密性の高くない仕事)
・家族みんなでスマホとPCを使う程度
といった使い方が多いと思います。
こういう場合、自分一人の通信ログだけがピンポイントで狙われる可能性はかなり低く、
あくまで「世界中のユーザーのビッグデータの中の、ごく一部」として扱われるイメージに近くなると考えられます。
・そこまで気にしないから、とにかくサクサク使えればいい
・多少のリスクより、コスパと性能を取りたい
という価値観の人にとっては、TP-Linkは十分“攻めていい選択肢”だと思います。
ネットワークカメラが怖いなら、そもそも使わないという選択肢
TP-LinkはTapoブランドでネットワークカメラも出していますが、
という感覚もすごくよく分かります。
もし少しでも、
という気持ちがあるなら、最初からネットワークカメラを導入しないのは、むしろ賢い選択です。
・ルーターやWi-Fi機器だけTP-Linkを使う
・カメラやマイク付き機器は国産/別メーカーにする
・そもそも室内カメラは使わない
といった線引きも全然アリです。
日本でのサポート体制はどう?
TP-Link Japanは、日本向けに
・電話サポート
・メールサポート
・オンラインマニュアル・FAQ
などを用意しており、日本語で問い合わせ可能です。
混雑時に電話が繋がりにくい、メール返信が遅い…といった声は他メーカー同様ありますが、
少なくとも「完全に英語で中国本社に投げるしかない」という状況ではありません。
まとめ:TP-Linkってどこの国?怪しいメーカーなのか
以上がTP-Linkという会社の紹介でした!
今回のまとめをしていきます!
【Q. TP-Linkはどこの国?】
・中国・深圳発のネットワーク機器メーカー
・世界170カ国以上に展開し、WLAN機器の世界シェアNo.1を複数年継続
【Q. どんな会社?】
・Archer(ルーター)、Deco(メッシュWi-Fi)、Tapo(スマートホーム)など多彩なラインナップ
・価格に対してスペックが高く、コスパの良さで人気
【E. メリット】
・「同等スペックで見たときに、他社より安い」ケースが多い
・シリーズごとの役割がはっきりしていて選びやすい
・アプリで初期設定しやすく、初心者でもとっつきやすい
【E. 気になる点】
・中国メーカーであり、アメリカなどで安全保障上の懸念から調査・規制検討が行われている
・一部モデルで深刻な脆弱性が悪用された事例があり、アップデートをサボると危険
【Q. 結局どう選べばいい?】
1. まず自分の「立場」と「扱う情報の重さ」を考える
└ 機密情報が絶対に抜かれちゃいけない立場 → 国産メーカー(バッファロー・エレコム・NECなど)を優先
└ 一般的な個人利用 → TP-Linkを含めてコスパで比較してOK
2. 自宅の間取り・使用台数・オンラインゲームなどの条件を整理
3. Archer / Decoの中から必要スペックを満たすモデルを選ぶ
4. 初期パスワード変更&ファームウェア更新だけは必ず行う
5. ネットワークカメラが怖いなら、そもそも導入しないのも立派な選択肢
TP-Linkを選ぶかどうか迷った時は「セキュリティ的に疑われたくない人は選択肢から除外。(国産メーカーから選ぶ)そうでない人は、TP-Linkの安さと性能を素直に楽しめばOK」というスタンスでいいでしょう。
価格が安く、製品自体が良いのは確かなので、細かいリスクよりもコスパと使い勝手を重視する方は、一度試してみる価値は十分あります。
以下、TP-Linkがおすすめな人がこちら
TP-Linkのルーターがおすすめな人
・コスパ重視で、なるべく安く高速Wi-Fi環境を整えたい
・Archer / Decoなど、実績のあるシリーズから選びたい
・スマホアプリでの初期設定・ファーム更新くらいなら自分でできる
・スマートプラグやスマートライトなど、Tapoシリーズもまとめて使ってみたい
・「中国メーカーでも、自分の利用範囲なら許容できる」と考えられる
反対におすすめしない方は
TP-Linkをあまりおすすめしない人
・職業柄、情報漏洩がシャレにならない(公務員・医療・金融・重要インフラなど)
・職場のセキュリティポリシーが厳格で、疑惑のあるメーカーを避けるよう明記されている
・ルーター設定やアップデートを自分では一切いじりたくない
・ネットワーク機器は「何があっても国産一択」と決めている
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
よくある質問(FAQ)
Q1. TP-Linkはどこの国の会社ですか?
A. もともとは中国・深圳発のネットワーク機器メーカーです。現在は世界中に拠点を持つグローバル企業で、日本にも「ティーピーリンクジャパン」という日本法人があります。
Q2. TP-Linkは怪しいメーカーではない?
A. 世界シェア上位の大手メーカーで、「謎の聞いたことないメーカー」とは立場が違います。ただし中国企業であるため、国によっては安全保障上の観点から注意深く見られているのも事実です。
Q3. セキュリティ的に危なくないですか?
A. 一部モデルで深刻な脆弱性が見つかり、ボットネットに悪用された事例があります。これは他社ルーターでも起こることなので、TP-Linkに限らず「初期パスワードの変更」と「ファームウェア更新」をきちんと行うことが前提です。
Q4. ネットワークカメラは大丈夫?
A. 仕組み上、「内部の映像をインターネット経由で見られる」機器なので、不安を感じる方も多いです。少しでも怖いと感じるなら、そもそもネットワークカメラを導入しないのが一番安全です。Wi-FiルーターだけTP-Linkを使う、という分け方もアリです。
Q5. 公務員・医療・金融などの仕事でもTP-Linkを使っていい?
A. 技術的に「絶対ダメ」とは言い切れませんが、職場のセキュリティポリシーに従うのが大前提です。立場的に「疑われたくない」「説明責任を負いたくない」と感じるなら、家庭用も含めてバッファロー・エレコム・NECなどの国産メーカーを選んでおくのが無難です。
Q6. 個人で使う分にはどこまで気にすべき?
A. 一般的な個人利用なら、「世界中のユーザーのビッグデータの中のごく一部」という扱いに近いです。それでも気になるなら国産メーカーへ、そこまで気にしないなら、コスパの良いTP-Linkを試してみる、という割り切り方でOKだと思います。
Q7. どのシリーズを選べばいいか分かりません。
A. マンション・3LDK前後ならArcherシリーズのミドルクラス、戸建て・広い家ならDecoシリーズのメッシュWi-Fiがおすすめです。オンラインゲームをガッツリする場合は、有線LANポートの数やQoS機能もチェックすると安心です。
Q8. ルーターはどのくらいの頻度で買い替えたほうがいい?
A. 目安として5年前後です。Wi-Fi規格の世代(Wi-Fi 5 → 6 → 6E…)や、セキュリティアップデートの状況を見つつ、あまりに古いモデルは徐々に新しいものへ切り替えたほうが安心です。
Q9. Amazonの激安TP-Linkルーターは買っても大丈夫?
A. 型番・Wi-Fi規格・最大速度・IPv6対応・サポート終了かどうかを必ずチェックしましょう。あまりに古い・安すぎるモデルは、サポートが切れていて脆弱性が放置されている場合もあるので注意です。
Q10. 最終的に、初心者がTP-Linkを選んでも大丈夫?
A. 「個人情報が絶対に抜かれてはいけない立場」なら、素直に国産メーカーを選ぶのが安心です。そこまでシビアではない一般個人なら、初期設定とアップデートをきちんとやる前提で、TP-Linkを選ぶのも十分アリな選択肢だと感じています。


